富士山の山開き前(期間外)に日帰りで富士登山を楽しんできました。山開き前に富士山に登れるのか?と疑問に思ってらっしゃる方もいることでしょう。この記事では、山開き前に富士山に登るメリットとデメリット、注意点などに触れつつ、開山期間外の富士登山の模様をお伝えします。
- 山開き前でも富士山に登れるの?
- 富士山 山開き前登山のメリットとデメリット
- 富士山期間外登山の注意点について
富士山の山開き期間(開山期間)は?いつから?いつまで?
富士山の山開き(開山日)は例年7月の上旬から9月の上旬までの2か月間です。開山期間は各ルートによって若干の相違があるので詳細は公式サイトで確認してください。
山開き前の閉山中に富士山に登ることは可能?
山開き前の期間外に富士山に登ってもいいの?
そもそも、山開き前に富士山に登れるのか?と疑問に思われいる人もいらっしゃることでしょう。
結論を申し上げると、山開き前でも富士山に登ることはできます。
吉田ルート、富士宮ルート、御殿場ルート、須走ルートのいずれのルートでも山開き前に登ることはできます。それぞれのルート毎に管轄する自治体・警察は異なるのでが…。
富士宮ルートを管轄する静岡県警の富士宮署に電話で問い合わせたところ、「開山日まえの富士登山を禁止しているワケではない」との回答を得ました。
開山前・閉山後の富士登山は「禁止」ではなく行政側からの「お願い」とのことです。お願いですから法的拘束力はありません。
法律の規定・解釈は市民の規範意識や時代により変化します。当記事を書い以後に新しい法律・条例当が制定されている可能性もあります。気になる人はご自身でお調べ下さい。
法律で禁止されていないからといって遭難・事故等を起こせば警察はじめとする関係各所に迷惑を掛けることになるので入念な準備・計画と最大限の注意を払うことが必要です。
山開き前に富士山に登るメリット・デメリット
山開き前・閉山後の開山期間外に富士山に登ることのメリット、デメリットをまとめました。
富士山 山開き前登山のメリット
山開き前(期間外)に富士山に登るメリットとしては以下の通りです。
登山道での人混み・渋滞がなく快適!
富士登山のシーズンは7月上旬から9月上旬までの2か月間だけです。この2か月の間に日本全国から登山者が訪れるワケですから山開き中のシーズンは常に人混み・渋滞を避けることが出来ません。
マイカー規制がないので5合目まで自家用車で行ける
富士山の山開き期間中は富士山スカイラインでマイカー規制が実施されます。その5合目までマイカーで行くことはできません。(マイカー規制の詳細はコチラ)
▼ 富士登山パーフェクトガイド ▼
富士山 山開き前登山のデメリット
富士山の山開き前(期間外)に登るデメリットは以下の通りです。
山開き前では山小屋・休憩所も営業していません。開山中では設置される臨時の救護施設もありません。
富士山では例年山開き前に登山道の安全確認が行われます。登山道において危険箇所があれば必要な整備が行われます。山開き前の登山道では右のような整備が行き届いていません。
詳しくは、次の「山開き前の富士登山の注意点」の中で解説します。
山開き前の富士登山の注意点
開山日前に富士山登る際には以下の点に注意しましょう。
休憩所・トイレは一切使用できない
先にみたように、山開き前の富士山では山小屋・休憩所は営業していません。ですから、必要な飲料水・食料はすべて持参する必要があります。
また、登山口から山頂までの間トイレは一切使用できません。登山道はもとより登山道をは外れた場所で排泄するのもマナー違反とされています。
必要に応じて携帯トイレ等を持参しましょう。
遭難のリスクが高まる
山開き前の富士山は総じて開山日後よりも気温が低く昼間でも0度を下回ることは珍しくありません。例年6月初旬まで山スキーができるくらいですから8合目・9合目あたりには雪も残っています。
5月に登るなら残雪期登山の装備・服装が必要です。
気象条件によっては6月初旬に雪が降ることもあります。万一に備えてツエルトや緊急用の防寒具を用意しておきましょう。
また、開山日前では登山道の整備が行き届いないこともあります。斜面の崩落や危険な落石が放置されています。
以上のように山開き前の富士登山は開山日後と比べると極めて厳しい条件下での登山となるので遭難のリスクが飛躍的に高くなります。
仮に不測の事態が生じた場合、遭難診療所や救護所、遭難者救助のための臨時派出所も閉まっているので遭難者救助も困難を極めることになるでしょう。
上記のような危険とリスクに対応できるだけの準備と装備を用意しておくことが必要です。
▼登山用品・装備紹介▼
▼富士登山のための旅行計画を立てる▼
山開き前の富士宮ルートで日帰り富士登山【山行記】
富士山 山開き前の登山の模様を動画と画像で紹介します。
【動画】山開き前5月の富士山登山
2018年7月某日、日帰りでの富士登山を楽しんできました。
山開き前のマイカー規制が無い時期を選んで富士宮ルートの5合目登山口から登りました。
所用時間は登り5時間、下り2時間20分、往復約7時間半。好天に恵まれ絶好の登山日和のなか富士山頂を満喫。
富士山 富士宮ルートどうせ登るなら山開き前に…
富士宮ルートの山開きは毎年7月10日頃です。
富士山の山開きと同時にマイカー規制が敷かれるため富士山スカイラインの五合目まで車で行くことはできなくなります。
マイカー規制期間中は、富士山麓の水ヶ塚公園駐車場に駐車して、そこから富士宮口五合目行きのシャトルバスまたはタクシーを利用する必要があります。(⇒ 富士山スカイラインの規制詳細)
加えて、7月10日の山開き以降は日本全国から登山客が押し寄せるので登山道の渋滞・混雑が予想されます。
ということで、7月10日の富士宮ルートの開山前に富士登山を満喫してきました。
富士宮ルートの特徴
富士宮ルートは他の3つのルート(吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート)を含めた全登山道の中で最短で登ることができるルートです。
それだけに、他のルートに比べて急登気味になるので登山の前にはしっかりと高山病対策をすることが重要です。
富士宮登山道口~富士山スカイライン五合目駐車場
先程申したように富士宮ルートの開山前には直接富士スカイラインの五合目にある登山口まで車でいくことができます。
午前5時前に富士山スカイライン五合目の駐車場に到着。この日は好天が予想されていたので平日にも関わらず午前6時には満車状態でした。
ちなみに五合目駐車場の標高は約2400m、カップ麺のパッケージは既にパンパンに膨張しています。
富士登山 富士宮ルート 日帰り 山行記録 詳細
前置きはこれぐらいにしておいて、今回の富士登山の模様をお伝えします。
富士宮口5合目から6合目へ
コチラが標高2390mにある富士宮ルートの五合目登山口です。
正式な名称は富士山表口五合目らしいですね。
車の中で2時間ほど仮眠をとって午前7時45分に5合目登山口から富士登山を開始します。
この日は天気に恵まれ5合目の登山口から富士山頂を見渡すことができました。
五合目の登山口を上がってすぐのところに公衆トイレも完備されています。
5合目から6合目の登山道は整地されていてとても歩きやすいです。
登山道を15分ほど登ると6合目の山小屋 雲海荘と宝永山荘があります。
この日は山開き前でしたが休憩所は営業していたようでした。
6合目から新7合目へ
6合目から富士山頂への登山道は山開き前ということでバリケードで封鎖されています。
このバリケードを迂回して山頂に続く登山道に入る必要があります。
バリケードを超えると本格的な富士登山の開始です。
好天に恵まれ絶好の登山日和です。しかも山開き前ですから登山道の渋滞とは無縁。
登山客はまばらです。お話を聞いていると富士山に登り慣れた近隣地域の方が多いという印象を受けました。
眼下には駿河湾と富士裾野の向こうの越前岳を見渡すことができます。
(駿河湾)
(越前岳)
よほどの晴天でないとこの位置から富士山頂と下界の両方を見通すことはできないとのこと。この日は天気に恵まれ本当にラッキーでした。
高山病ににならないようにペースを抑えてゆっくりと歩きます。
登り始めから約1時間ちょっとで新7合目に到着
この新7合目には御来光山荘という山小屋がありますが、まだ山開き前なので当然営業はしていません。
新7合目から8合目へ
7合目と8合目の間にある標高3000mポイントを通過。
スタートの5合目の標高が約2400m、高低差でここまで600m登ったことになります。ここから頂上の3776mまであと700m、まだまだ先は長い。
8合目付近目から下を見下ろすと宝永山が小さく見えます。
8合目まであと200mです。
8合目付近の登山道は粒子の細かい火山灰質の砂ではなく溶岩質の岩稜帯のようになっています。
8合目の山小屋と救護所がはっきりと視界に入ってきました。
登りはじめから2時間30分、10時15分に8合目に到着。新7合目を通過してから約1時間30分かかかりました。
富士宮ルート8合目の標高は3250m。ここから富士山山頂までは距離にして1.6㎞、標高差では500mになります。
8合目から9合目へ
8合目には池田館という山小屋があり、その横には医師が常駐する救護所(富士山衛生センター)があります。
ただこの日は山開き前ということで山小屋も救護所も閉鎖されています。
8合目から下を見下ろすと、7合目から見た越前岳は以前よりも小さくな見え、雲海の下で駿河湾と越前岳が一緒にカメラのフレームに収まるようにまっています。
8合目で15分ほど休憩して9合目を目指します。8合目から遥か彼方に山頂の鳥居が小さく見えます。
8合目の上にある大鳥居を通過。
8合目を出発して15分ほど登ったところで、トレラン中の金髪美女と遭遇。
聞けばすでに山頂に登って下山途中とのことでした。
富士宮ルートの8合目と9合目間にある「コインの木」。
日本の10円玉や5円玉はもちろん米国の25セント硬貨など各国の硬貨、ピンバッジなどが木に差し込まれています。
午前11:00に9合目に到着。
富士宮ルート9合目の標高は3460m。この9合目には萬年雪山荘という山小屋がありますが、開山前なので営業はしておりません。
9合目から富士山頂へ
9合目で雲海を背景に記念撮影。
休憩もそこそこに山頂を目指します。
9合目から山頂までの間には、九合五勺というウェイポイントがあり、ここには胸突山荘という山小屋があります。
この九合五勺に到着したのが午前11時50分。9合目まではいいペースで登ってこれましたがここにきてイッキにペースダウンです。
15分ほど九合五勺で休憩して山頂を目指します。
9合目を出発して30分ほど登ると大きな岩稜の左側の山頂の鳥居が見えてきました。
ここから頂上までつづら折りの急峻な登山が続きます。
最後の力を振り絞って一歩一歩山頂へ…。もう山頂の鳥居は目前です。
12時46分、富士宮口5合目を出発してから約5時間で富士山頂に到着。
富士山頂から剣ヶ峰へ
富士宮ルートの頂上にある展望台から下界を見下ろします。
富士山頂の浅間大社奥宮。
山頂で昼食をとってから富士山の噴火口の脇を通って剣ヶ峰に向かいます。
午後1時45分頃、剣ヶ峰に到着。剣ヶ峰からみた富士山の噴火口。
日本で一番高いところ(標高3776m)でバンザーイ!
下山前、日本で一番高い山、富士山に敬意を表して日本国国旗を掲揚!
富士山には日の丸が似合います。(私はナショナリストではありません…)
富士山頂から5合目駐車場へ下山
富士山頂で2時間近く過ごしたあと、午後2時30に下山を開始します。
下り最速!砂埃りを吸い込まないようにフェイスマスクをして小刻みなステップでイッキに下ります。
下山開始から2時間20分、午後4時49分にスタート地点の富士宮口5合目駐車場に到着。
無事下山完了です。
富士宮ルート 日帰り富士登山 所用時間まとめ
午前7時45分富士宮口5合目出発して午後4時49分に下山完了。
山頂での滞在時間を除けば今回の富士登山で要した往復時間は約7時間半になります。登り要した時間は約5時間、山頂で1時間45分滞在、下り約2時間半、トータル9時間15分。
登りに要した時間の詳細は以下の通りです。
- 5合目-6合目(15分)
- 6合目-新7合目(45分)
- 新7合目-8合目(90分)
- 8合目-9合目(45分)
- 9合目-山頂(105分)
下りは登りに要した時間の半分程度の時間を見込んでおけば大丈夫でしょう。
▼富士登山のための旅行計画を立てる▼
富士登山の服装と装備
年間で30万人近くの人が富士山に登ります。富士山は気軽に登れる山というイメージが強いですが、日本最高峰の山だけにそれなりの服装と装備が必要です。
編集後記
今回の富士登山は、本当に天気に恵まれ幸いでした。予報では当日の登山指数は終日Aでした。
(参考:てんきとくらす 富士山の天気)
おかげで日帰りでの富士登山でしたが十分に満喫できました。
富士宮ルートでの富士登山は登りも下りも終日、直射日光に晒されます。それだけに日焼け対策をしっかりとすることが大事です。
(テキスト・編集人 flyder)
コメント
来年の7月山開き前に行きたかったので参考になりました!