富士山に登るために必要な服装と装備、道具を紹介します。登山初心者にも人気の富士山、標高3,776m日本最高峰の山だけに登山に適した服装と装備を怠れば危険です。
初心者向けに富士登山の準備に役立つ持ち物・携行品のチェックリストを用意しました。
この記事では7月初旬~9月初旬までの夏山シーズンを前提として服装の紹介になります。山開き前の富士山登山については以下の記事を参考にして下さい。
富士登山に必要な服装と装備・道具を準備しよう!
日本で一番高い富士山、夏の最盛期には一日で一万人以上が登ることもあるほど富士登山は人気です。有名で身近な存在だけに登山者の中には、Tシャツにスニーカーというカジュアルな服装で登る人も結構いらっしゃるようです。
富士登山には富士登山に相応しい服装と装備が必要
確かに、シーズン中であれば富士山頂までの登山道は整備が行き届き、随所に山小屋・休憩所が存在するので他の3,000m級の山に比べれば安全に登れる山といえます。
しかし、そうはいっても日本最高峰、標高3,776mの高さがあります。
気象条件によっては真夏でも氷点下になることもありますし、雷や強風に遭遇することもあるでしょう。安易な気持ちで登山には不適切ともいえる軽装で富士山に登れば生命・身体を危険に晒すことになります。
そこで、当記事では富士登山を安全・快適に登るための必要な服装・装備・道具を紹介します。
▼ 富士登山パーフェクトガイド ▼
富士登山の服装【7月~9月夏山シーズン】
富士山が山開きする7月から9月の夏山シーズンの富士登山に必要な服装・衣類を紹介します。
登山の服装の基本 レイヤリング
登山での服装の基本はレイヤリング(重ね着)!
登山では標高が100m上がる毎に気温は0.6度下がります。状況に応じて重ね着をすることで、暑くもなく寒くもない快適な状態をなるべく維持することが必要です。
特に富士登山では起点となる5合目と山頂との標高差が大きく、気象条件や時間帯により寒暖の差が激しいことから富士登山ではレイヤリングが極めて重要になります。
ベースレイヤー
ベースレイヤーとは直接肌の上に着るウェアのことです。一般的には肌着やTシャツですね。ベースレイヤーを選ぶ際に注意したいのが素材です!
肌着やTシャツではコットン素材のものが多いですが、登山用のベースレイヤーとしてはコットンやレーヨン素材のモノは避けましょう!
コットンやレーヨンは一度濡れると乾くのに時間がかかるという特性があります。汗をかくとコットンが吸収した汗によって体が冷やされ(汗冷え)低体温症に陥る危険があります。
富士登山の際には、吸湿速乾性に優れたポリエステルなどの化繊素材、あるいは吸湿速乾性と高い保温性を兼ね備えたメリノウールの肌着を選んで下さい。
ユニクロのヒートテックはおすすめできません!
素材にレーヨンを使用しているユニクロのヒートテックは、一度湿気を含むと乾きにくいことから汗冷えの原因になるのでおすすめできません!直接肌と接触するベースレイヤーの選択は生死にかかわることもあるので適切なモノを選びましょう。
▼ベースレイヤー特集▼
ミドルレイヤー
ベースレイヤー(肌着)の上に着る保温用の衣類をミドルレイヤーといいます。フリースやパーカー、薄手のダウンジャケットなどが一般的です。
夏にダウンジャケットは不要でしょ?と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、富士山の山頂では夏でも0度以下になることがあります。特に夜明け前に御来光を待つような場合にはダウンジャケットが必要なほど冷え込みことは珍しいことではありません。※後に述べるレインウェアと併用でもOKです。
▼ミドルレイヤー特集▼
アウターレイヤー
風雨を遮るために一番外側に着るウェアをアウターレイヤーと呼びます。
休憩時に羽織ることで身体が冷えることを防ぐのはもちろん、天候によっては登山中に着ながら歩き続けることもあるのでアウターレイヤーにはゴアテックスなどの防水透湿性素材のモノがベストです。
▼アウターレイヤー特集▼
ズボン・タイツ
ズボン・パンツには歩きやすいトレッキングパンツがおすすめです。最近はショートパンツにタイツという組み合わせも人気です。
▼トレッキングパンツ特集▼
雨具・レインウェア
天候の変化が激しい登山では雨具・レインウェアは必須アイテムです。
雨で身体を濡らすと体温が奪われ低体温症に陥る危険性があります。
8名の死亡したトムラウシ山遭難事故の例から分かるとおり夏山でも低体温症によって生命が危険にさらされます。そのため登山においては風雨をしのぐためのレインウェアが極めて重要になります。
※レインウェアは先に述べたアウターレイヤーとの兼用でもOKです。
▼登山ウェア特集▼
その他の服装・衣類
靴下
登山において靴下は、靴擦れ防止、足裏へかかる衝撃の緩和という極めて重要な役割を担っています。富士登山においては通常の靴下よりも厚手で吸汗・速乾性に優れた登山用の靴下を選ぶのがよいでしょう。
帽子
遮蔽物がなく強い紫外線に晒される富士登山では帽子は必須アイテムです。
手袋
岩場の急登箇所では両手を使って登ることもあります。手を汚したりケガを防止するために手袋・グローブを用意しておくとよいでしょう。日焼け対策にも有効です。
着替え
1泊2日の宿泊予定で登る場合にはベースレイヤーや下着類の着替えが必要なのはもちろんです。日帰り予定で登る際にもベースレイヤーの着替えを用意しておけば安心です。
富士登山の装備・道具【夏山シーズン】
富士山が山開きする7月初旬~9月初旬の夏山シーズンの富士登山で必要な装備・道具を紹介します。
登山用のリュック/ザック/バックパック
日帰りなら20L~30Lクラス、1泊2日の小屋泊なら30L以上のテント泊用のザックがおすすめです。雨天の場合に備えてレインカバーも忘れず用意しましょう。
▼登山用ザック特集▼
富士登山のための登山靴について
富士山に登るならトレッキングシューズ或いは登山靴は必須アイテムです。
富士山の登山道の多くは砂礫と溶岩で構成されています。
靴底の柔らかいスニーカーでは、足元が不安定になるだけでなく疲労蓄積の原因にもなります。靴底の硬いトレッキングシューズなら足場の不安定な登山道でも足元をしっかりと支えてくれます。
トレッキングシューズ・登山靴には様々なタイプがあります。富士登山には足首まで覆うハイカットタイプの登山靴がおススメです。
ハイカットのトレッキングシューズなら足首をしっかりホールドし足のねじれを防止してくれます。また砂礫や砂利・小石の侵入を防止してくれます。
トレッキングポール
トレッキングポール(ストック)は膝や足首への負担を軽減するだけでなく、登りでは推進力を得ることができます。
ゲイター/スパッツ
富士山の登山道は砂礫に覆われた地帯が多いことで有名です。ゲイター(スパッツ)があれば砂礫や小石が靴の中に入るのを防いでくれます。
水筒・ハイドレーション
富士登山では夏山シーズンの日帰りでも2L程度、泊りなら3程度のの飲料水が必要になります。富士山では8合目、9合目などの各山小屋、休憩所で給水は可能です。ただし飲料水はすべて有料です。
その他の装備・持ち物
登山用バーナー
カップラーメンやインスタントスープ、フリーズドライ食品って食べるならお湯を沸かすための登山用バーナーが必要になります。
ポーチ/サコッシュ
小銭入れやカメラ、スマホなど頻繁に使う必要がある物はスグに取り出せるようにリュックとは別のポーチやサコッシュに入れておくと便利です。
ヘッドランプ
御来光目当てで深夜に山小屋から登る場合はもちろん、日帰えり登山の場合でも夜中や夜明け前から登る際には必須アイテムです。
サバイバルシート
ケガや疲労、高山病などで行動不能に陥った場合に備えてサバイバルシートやエマージェンシーシートと呼ばれる薄いアルミのブランケットを用意しておくと安心です。
経口補水液
熱中症対策や足の痙攣予防のためには真水や清涼飲料水を飲むよりも経口補水液がおススメです。
インスタント食品
宿泊予定が無くても途中の山小屋・休憩所で食事をとることは可能です。ただし、料金は平地と比べるとバカ高いです。自前で食事を用意するなら、お湯を注ぐだけで完成するカップラーメンや各種フリーズドライがおすすめです。
行動食
休憩時や歩きながら食べられるゼリー飲料やチョコレート、ナッツ類。
スマホ・携帯電話
事故やケガ、病気などの不測の事態が生じた場合に外部と連絡を取るために必要。緊急時に備えてバッテリーの消耗を抑えるために機内モードにしておくか電源は切っておきましょう。
カメラ
インスタ映えするキレイな写真を撮るならレンズ性能のよいカメラを持参しましょう。
携帯ラジオ
富士山ではwifiが使えますが、時期や場所によっては繋がらない場合もあります。スマホが使えない場合でも携帯ラジオがあれば気象状況などをチェックできます。
ビニール袋
自分のゴミを持って降りるのが登山における基本マナーです。ゴミ袋として利用したり、汗で濡れたタオルや肌着を入れておくのに利用できます。
ウェットティッシュ
手洗いや洗面がままならない富士山ではウェットティッシュがあると便利です。
トイレットペーパー
富士山に設置してあるトイレでは紙切れも珍しいことではありません。自前のトイレットペーパーがあれば安心です。
日焼け対策グッズ
富士山の5合目より上では樹林帯や日光を遮る遮蔽物がないので日焼け対策が重要です。
紫外線から肌を守るための日焼け止めクリームはもちろんフェイスマスクやネックゲイター、アームカバーなどの各種日焼け対策グッズを準備しておきましょう。
ファーストエイドキット
絆創膏、消毒液、包帯、テーピング、下痢止め、解熱剤、鎮痛剤、常備薬などを必要に応じて揃えておきましょう。
耳栓
山小屋に泊まるなら必須!富士山の山小屋の寝床はぎゅうぎゅう詰め状態です。他人のいびき対策に耳栓は必須です。
酸素缶
富士山 剣ヶ峰の標高は3,776m。標高3,000mを超えると空気が薄いと感じることもあります。息が上がった時に吸い込むことで楽になれます。
富士登山のための準備・持ち物チェックリスト
ここまでで紹介した服装・装備・アイテムに加え富士登山に必要な持ち物・携行品のリストを作成しました。富士登山の準備のためのチェックリストとしてご活用下さい。
( 富士登山の服装・装備 持ち物チェックリスト PDF)
品名 | 摘要 | 重要度 |
ベースレイヤー | 汗を吸い乾きにくい綿のTシャツは避ける | ★★★ |
ミドルレイヤー | 長袖シャツ、フリース、パーカー、ダウン | ★★★ |
アウターレイヤー | 撥水性、防水透湿性素材のものがベター。 | ★★★ |
雨具/レインウェア | アウターレイヤーと兼用でもOK | ★★★ |
トレッキングパンツ | 伸縮性素材の動きやすいものがベター | ★★★ |
タイツ | ショートパンツに合わせるなら機能性タイツ | ★★ |
トレッキングシューズ | 足首を覆うミドルカット、ハイカットがおススメ | ★★★ |
靴下 | 吸汗・速乾性機能のある厚手の登山用靴下がおすすめ | ★★★ |
帽子 | キャップよりもツバの広いハットの方がおすすめ | ★★★ |
手袋 | 岩場・溶岩帯を登るときの手の保護&日焼け防止にも | ★★ |
着替え | 肌着・ベースレイヤーの替え | ★★ |
ザック/リュック | 日帰りなら20L~30L、泊りなら30L以上がおすすめ | ★★★ |
ザックカバー | リュックの中が雨で濡れないように | ★★ |
ポーチ/サコッシュ | 貴重品やスマホなどを収納するに便利です。 | ★★ |
トレッキングポール | 登りでは推進力を生み、下りでは膝の負担を軽減。 | ★★ |
ゲイター/スパッツ | 靴の中に砂・小石が侵入するのを防いでくれます。 | ★★ |
ヘッドランプ | 夜明け前、夜中に登るなら必須アイテム | ★★★ |
サバイバルシート | 緊急時に体温の低下を防いでくれます。 | ★★★ |
スマホ/携帯電話 | 緊急時の連絡手段に | ★★★ |
カメラ | キレイな写真を撮るならスマホよりもカメラ | ★ |
携帯ラジオ | wifiが繋がらなくても気象情報・災害情報を取得できる | ★ |
水筒/ハイドレーション | 歩きながら水分を補給できるハイドレがおすすめ | ★★★ |
バーナー、コッヘル | カップラーメン、フリーズドライのお湯を沸かすのに | ★★ |
ビニール袋 | ゴミ袋や汚れものを収納袋として | ★★★ |
登山地図・ガイドブック | 山頂までのルートやコースタイムが把握できます。 | ★ |
ウェットティッシュ | 水が自由に使えないので手洗い・洗顔用にあると便利 | ★★ |
トイレットペーパー | 富士山のトイレでは紙が切れていることもあるので | ★★ |
ファーストエイドキット | ケガや病気、下痢などの体調異変に対応できる用意を | ★★ |
マスク・手ぬぐい | 砂礫から巻き上がる砂埃を吸い込まないように | ★★ |
日焼け・紫外線対策 | 日焼け止めクリーム、フェイスカバー、アームカバー | ★★ |
健康保険証 | 万一の場合に備えて | ★★ |
飲料水・経口補水液 | 熱中症、足の痙攣の予防には経口補水液が効果的 | ★★★ |
食料 | 山小屋での食事は料金が高い。節約するなら持参。 | ★★ |
行動食 | ゼリー飲料やチョコレート、ナッツ類、飴など | ★★★ |
耳栓 | すし詰めの山小屋で快眠を得るために | ★ |
酸素缶 | 息が上がったときに酸素を補給 | ★ |
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