バーゴ チタニウム デカゴンストーブ T-302についてビューします。同製品のメリット(長所)・デメリット(短所・欠点)をレポート!プレヒートの方法や自作の消化蓋などデカゴンストーブを快適に使うための小技や燃焼性能・燃費(トランギアと比較)などもあわせて紹介致します。
- デカゴンストーブの長所・短所を知りたい!
- デカゴンストーブのプレヒートや消化方法は?
- トランギアのアルストと比べて火力や燃費はどうなの?
評価の詳細は本文で…
バーゴ チタニウム デカゴンストーブ T-302の特徴とスペック
先ずは、バーゴ チタニウム デカゴンストーブT-302の特徴とスペックについて紹介させて下さい。
とっ、その前にデカゴンって何?という人の為に…。
デカゴンDECAGONとは
デカゴンストーブのデカゴンDECAGONとは、十角形すなわち10本の辺と頂点を持つ図形のことです。デカゴンストーブはどうみても円形に見えるのですが…。バーゴの代表的商品のひとつであるヘキサゴンウッドストーブのヘキサゴン(六角形)にちなんでデカゴンとネーミングしたのでしょうか。
バーゴ デカゴンストーブの特徴
バーゴのデカゴンストーブの主な特徴は以下の3点になります。
唯一無二の強度を実現させた、スーパーストロングサイドバーナー。アルコール連続燃焼時間約20分。カップ2杯の水を約5,6分で沸かせます。サイドバーナーなので平型クッカーとの相性が◎。五徳不要でお使い頂けます。車で踏んでも壊れない!?安定性抜群のアルコールストーブ。
VARGO公式
超軽量
デカゴンストーブのカタログ重量は僅か34g!アルコールストーブの代名詞的存在であるトランギアのアルコールバーナーTRB25の重量(110g)の3分の1程度の重さになります。
サイドバーナー方式
トランギアやエスビットなど一般的なアルコールストーブのジェット孔は上方向に空いているのに対してデカゴンストーブのジェット孔は横向きに空けられています。
ストーブからの炎が横向きに出る、いわゆるサイドバーナー方式を採用しています。
絶対壊れない⁉史上最強のアルコールストーブ
デカゴンストーブの開発コンセプトは『絶対に壊れないストーブ』。バーゴの公式サイトによれば開発ストーリーは以下の通りです。
絶対に壊れないストーブを作りたい。デカゴン開発のコンセプトはとてもシンプルなものでした。バーゴの社内テストでは車で踏みつけてもビクともしませんでした。史上最強のアルコールストーブといっても過言ではありません。
VARGO公式
バーゴ デカゴンストーブのスペック
デカゴンストーブの重量やサイズ、燃焼時間等のスペックは以下の通りです。
サイズについて
カタログ上でのサイズは「D52Φ×H32㎜」となっていますが、直径52㎜というのはストーブ本体のボディのみの直径です。ストーブ本体の周囲にあるエリマキ状のスタンド部分を含んでいません。スタンド部分を含めた全体サイズの直径を実測したところ約107㎜でした。
また、カタログ上では高さ32㎜というのは五徳として機能する突起部分を含んでいません。五徳となる突起部分の高さを含む全体サイズでの高さは実測したところ約35㎜です。
価格は?
公式サイトとよると¥5,060 (税込み)となっておりますが、ECサイトを含む実勢価格はそれよりも安いです。ちなみにワタシは\3,990で購入しました。
メリット・長所
ワタクシ、不肖flyderがバーゴのデカゴンストーブを実際に使用して感じた同製品のメリット・長所は以下の通りです。
軽さは正義!クラス最軽量級
既に紹介したようにデカゴンストーブのスペック上の重量は34ℊでトランギアのアルコールバーナーの約3分の1の重量です。
同じバーゴのトライアドマルチフューエルストーブの重量は30ℊですが容量は44㎖とデカゴンストーブより少ないです。
また、デカゴンストーブと同じくサイドバーナー方式のアルコールストーブとして最近注目を集めているエバニューのブルーノートストーブの重量は13ℊですが使用できる燃料容量はわずか15㎖でデカゴンストーブの約4分の1にすぎません。
燃料容量60㎖クラスのアルコールストーブの中では最軽量級のストーブということができます。
軽量で十分な燃料容量があるデカゴンストーブは装備の軽量化が要求されるテント泊登山やバックパックキャンプで重宝します。但しスタッキング性はお世辞にもいいとは言えません(後述)。
条件によってはトランギアよりも便利
デカゴンストーブは炎が横方向に出るサイドバーナー方式です。炎が上方向に出る一般的なアルコールストーブに比べて炎が横方向に広がるため底面の広い平型クッカーとの相性が良いと言われます。
実際にラージメスティンでお湯を沸かす時間をデカゴンストーブとトランギアで比較検証したところデカゴンストーブの方がトランギアより格段に早さという結果になりました。
底面の広い平型クッカーでお湯を沸かしたりフライパンや鉄板を使った調理はトランギアよりもデカゴンストーブ向きといえるのではないでしょうか。但し底面の広いクッカー使用時には五徳が必要になります(後述)。
燃焼作用を目で愉しむことができる
燃焼時にストーブの側面から均一に吹き出る炎の美しいこと。まるでなにかのアートのようです。特にプレヒートの段階から本燃焼に移行する際に炎がジェット孔から一斉に噴き出す模様は何度見ても飽きません。
その他
チタンという素材の特質として耐食性が高いこと、熱伝導率が低いことが挙げられます。耐食性が高いのでメンテナンスフリーでも安心して使えます。また熱伝導率が低いので使用後でもスグに熱が冷めます。ステンレスのように熱が冷めるまで待つ必要はありません。撤収・収納の時間短縮に繋がります。
さらに、チタンという素材の特質から使用する度にチタンブルーに変化してゆくチタン焼けを愉しむことが出来ます。
デメリット・短所・欠点
バーゴのデカゴンストーブを実際に使用してワタシが感じた同製品の主なデメリット・短所・欠点は以下の通りです。
本燃焼まで時間を要する
デカゴンストーブは一般的なアルコールストーブと比べるとボディ中央の燃料を貯める穴が小さくその周囲のチャンバー(膨張室)の容積が大きいのが特徴です。点火の際に最初に燃焼する中央部の面積が小さくチャンバーの容積が大きいために本燃焼に至るまでに時間を要します(チャンバー内の燃料が高温になるまで時間が掛かる)。
実際デカゴンストーブに関するレビューをみてみると、点火から本燃焼までに時間が掛かりすぎることに不満を示す人が多数いらっしゃいます。
プレヒートで本燃焼までの時間を短縮!
プレヒートをすることで本燃焼に至るまでの時間を短縮することができます。プレヒート方法の詳細は後述します。
五徳不要というが実際には必要⁉
デカゴンストーブの上面には3点の突起が設けてあります。この突起部にクッカーを直置きすることで五徳不要で使えるというのがデカゴンストーブのウリの一つです。
大きなクッカーを載せるなら五徳は必要!
底面の小さなクッカーを載せるなら問題はないですが…。3点の突起は狭い範囲にあるためラージメスティンなど底面の大きなクッカーを直置きすると不安定になります。
大きなクッカーを安心して使いたいなら別途五徳が必要になります。
クッカー直置きは燃焼作用に悪影響⁉
シェラカップや450マグのような小さなクッカーなら安定して載せることができます。しかし小さなクッカーを使用する場合でもクッカーをストーブの上に直置きするとクッカーの底面でセンターの穴が塞がれます。完全に塞がれるワケではないですが空気の通りが悪くなり燃焼作用に悪影響を及ぼしているように感じられます。実際にラージメスティンを使った検証ではクッカーをストーブの上に直置きした場合とストーブから1㎝程度離して置いた場合では離して置いて方がお湯が早く沸くという結果になりました。
使用できる五徳風防が限られる
上で指摘したようにクッカーをストーブの上に直置きするよりも五徳を使用した方が良いと考えることもできます。しかし、デカゴンストーブにおいてはトランギア等の一般的なアルコールストーブで使えるアルスト用の五徳風防(風防一体型五徳)が使えない場合が多いです。
バーゴのヘキサゴンウッドストーブやファイヤーボックス・ナノ、エバニューのアルコールストーブスタンドDX、デルタストーブ等々のアルスト用の五徳風はデカゴンストーブでは使えません。デカゴンストーブのエリマキ部分(スタビライザー)が邪魔になって五徳風防の中に入りません。
火力調整できない
トランギアやエスビットのアルコールストーブに付属しているような火力調整蓋はありません。サイドバーナー方式のため汎用タイプの火力調整蓋を使用することもできません。
消化蓋がない
火力調整蓋だけでなく消化蓋もありません。トランギア用の消化蓋や汎用タイプの消化蓋で代用することもできません(ストーブの径が大きく完全に被うことができない)。
通常タイプの消化蓋を利用できないので消化の際にはクッカーやマグカップでストーブ本体を覆う必要があります。個人的におすすめなのはチタン製のシェラカップです。
ストーブ全体を覆うのに適したサイズで一発で消化できます。熱伝導率が低いチタン製のため安心して使えます。
デカゴンストーブの消化蓋を自作
スタッキングしにくい
デカゴンストーブはストーブ本体と安定性を図るためのエリマキ状のスタビライザーが一体化しています。
スタビライザーを含めた直径は約107㎜になります。スタビライザーの面積が大きいために一般的なアルコールストーブに比べるとスタッキング性が悪いです。
振動に弱い
燃焼中のストーブに振動が伝わると燃焼作用が不安定化します。テーブルが揺れたりする場合はもちろんストーブに直置きしたクッカーの位置をズラしたりする程度の振動でも突発的に火柱が上がったり火力が強くなることがあるので注意が必要です。振動によりチャンバー内の液面が揺れることで内圧に変化が生じること原因だと思われます。
感想~万人向けではない!使う人を選ぶアルコールストーブ
はっきり言って、バーゴ チタニウム デカゴンストーブ T-302は万人向けのアルコールストーブではありません。特にアルコールストーブの初心者にはおすすめできません。
デカゴンストーブのメリット・デメリットをみれば分かる通りメリットよりもデメリットの方が多いです。プレヒートが必要だったり、一般的なアルスト用の五徳風防が使えなかったり、振動により暴走を起こしたり…、トランギアをはじめとする一般的なアルコールストーブに比べて使い辛いことは否定できません。ある意味、使い手を選ぶストーブと言うことができます。
使い辛いから使いこなす愉しみがある
使い辛いからといってデカゴンストーブの価値が全否定されるワケではありません。むしろ効果的なプレヒートの方法を考えてみたり、専用の五徳や消化蓋を自作してみたりと色々創意工夫する愉しみを与えてくれます。使いにくい道具を使いこなすために創意工夫を凝らすこともこの手のアウトドア用品の楽しみ方の一つです。
ということで、デカゴンストーブのデメリット・欠点を理解したうえでなお同製品のメリット・長所に魅力を感じる人は一度試めしてみてはどうでしょうか?。
バーゴ デカゴンストーブを快適に使うための小技
デカゴンストーブのプレヒートの方法
デカゴンストーブのプレヒートの方法としてはカーボンフェルトをストーブ本体に巻き付ける方法などが紹介されています(フェルトに燃料をしみ込ませてストーブ本体を暖める方法)。
上記の方法はカーボンフェルトをストーブに巻き付ける加工が必要になります。
ワタシ的にはより簡便なプレヒート方法として以下の方法をおすすめします。
シェラカップ用のリッド(蓋)を用意します。おすすめはベルモントのチタンシェラカップリッド!チタンなので熱で変形することはありません。
リッドの上面は浅い皿のようにクボミになっています。そのクボミの上にデカゴンストーブを載せます。
デカゴンストーブに燃料を注入し終えたら、さらにストーブの側面に燃料を少量たらします。燃料を垂らす側面はストーブの全面ではなく一部の面だけでOKです。ストーブ側面に垂らした燃料はシャラカップのリッドの上に流れ落ちます。これでプレヒートの準備は完了。ストーブに点火後リッドの上に流れ落ちた燃料にも点火してやりましょう。そリッドの上に流れ落ちた燃料の燃焼によりプレヒートすることができます。燃料の垂らし過ぎに注意しましょう。垂らす燃料はほんの少量でも大丈夫です。燃料を注入する際に燃焼をこぼすことが多々あります。リッドを敷いていれば零れ落ちた燃料をそのままプレヒートの燃料として利用できます。
デカゴンストーブの専用五徳を自作
先に指摘した通りデカゴンストーブには通常のアルコールストーブ用の五徳風防が使えないことがあります。また使えたとしても五徳の高さがサイドバーナー方式のデカゴンストーブには高すぎることがほとんどです。
ということで、デカゴンストーブ用の五徳を自作してみました。
セリアのクッカースタンド改デカゴンストーブ用五徳。100均セリアのアルスト用五徳ではサイドバーナー方式のデカゴンストーブには高すぎので脚を短くカットしました。
肉抜きがしてあるのでスケスケですが風防としての機能も多少は期待できます。
大きなクッカーを安定して使用する場合にはホームセンターの建材を用いて自作したアルコールストーブ用五徳も使えます。
但し現状では五徳の高さがデカゴンストーブには若干高いので用改造。
デカゴンストーブの消化蓋を自作
デカゴンストーブの消化にトランギアやエスビットの消化蓋を流用することはできません。
それらの蓋では小さすぎてデカゴンストーブのジェット孔を全部塞ぐことができないのです。ということで、デカゴンストーブでも使用できる消化蓋を自作しました。
制作方法はいたって簡単、350㎖のアルミ缶の底部を切り取ってツマミを付けるだけです。これでちゃんと消化できました。
デカゴンストーブのスタッキング方法
バーゴ チタニウム デカゴンストーブのスタッキングにはスノーピークのチタンシェラカップが最適です。上画像の通りピッタリ納めることができます。ベルモントのシェラカップリッドで蓋をしてクッカーバンドで留めておけば完璧です。
デカゴンストーブ vs トランギア 燃焼能力・燃費を比較【検証】
バーゴ チタニウム デカゴンストーブ T-302とトランギアのアルコールバーナー TRB25で燃料能力(火力)及び燃費性能について比較してみました。
比較検証の内容は以下の通りです。
トランギアの五徳の高さを3.5㎝としたのは、以前の検証結果においてトランギアの燃焼性能が最も発揮さる五徳の高さが4.5㎝±1㎝との結果を得ているからです。今回は底面の広いラージメスティンを使用することから4.5㎝マイナス1㎝の3.5㎝を採用しました。
サイドバーナー方式のデカゴンストーブとトランギアでは燃焼能力が最大化されるための五徳の高さは異なります。デカゴンストーブは五徳不要のクッカー直置きスタイルで使用することを前提にしているために五徳ナシの直置きで測定したあとに五徳を使用して1㎝の距離を空けて測定しました。
検証結果は以下の通りです。
【動画】デカゴンストーブの能力を検証 vs トランギア アルコールバーナー
今回の検証結果の詳細については下記の動画をご覧ください。
トランギア TRB25 | バーゴ チタニウム デカゴンストーブ | ||
五徳の高さ | 3.5cm | 直置き | 1cm |
所用時間 | 5分12秒 | 5分10秒 | 3分55秒 |
消費燃料 | 約25ml | 約30ml | 約30ml |
バーゴ デカゴンストーブの評判・口コミは?
ワタシ個人の使用感についての感想・レビューだけでは客観性に欠けるという批判もあることでしょう。そこで、デカゴンストーブに関する評判・口コミ情報の中から気になるものをいくつかピックアップして紹介させて頂きます。
中々本燃焼にならないと嘆く前にプリヒート。
火力的には申し分ないけど、燃費は火力の分アレです。
見た目からは想像できない軽さは良いです。
燃料の回収も思ったより簡単だと思うので、燃料はケチらず
おっしゃる通りプレヒートは必須ですね。気温・湿度にも影響しますがプレヒートがないと本燃焼までに2分以上かかる場合もあります。
面が大きな設計で転ぶことなく安定した座りです。
この座りの良さは火を取り扱うことを考えると安心できます。
また炎も美しく所有欲を満たすもので購入して後悔はありません。
しかしながら、本燃焼まで少し時間がかかるのがちょっとね。
スタビライザーのおかげでストーブ本体が安定しているのは確かですが、クッカーを直置きで使用する場合にクッカーの安定性という面では問題があるとワタシは感じています。
チタニウム製なので変形や熱による熔解の心配はありません。
単体で燃料を一杯入れて約16分前後本燃焼します。
今回初めてアルコールストーブを買ったので他製品と比較出来ませんが本燃焼までが5~6分掛ったと思います。
プレヒートなしで本燃焼までに5~6分とは随分長いですね。おそらく燃焼を口元一杯(ギリギリ)まで入れていない可能性も考えられます。点火時の液面が少しでも低くなると本燃焼までの時間は大きく左右されますから。
Terrible alcohol stove. It takes about 2 oz of fuel to run and get it to prime, and takes at least a couple minutes to prime fully. Moreover, if you set your pot directly on the stove it will put it out, so you also need a pot stand.
プレヒートしないと本燃焼までに2分程度掛かるのは一般的な長さだと思います。クッカーを直置きした場合にはみ出して不安定になることから五徳が別途必要になるとの指摘は全くもって同感です。
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